【店頭のお振袖が、お客様に届くまでの工程】をご紹介♪
2018年12月25日
本日は、店頭に並んでいるお振袖が、
お客様の元に、どのような工程を経て、届くのかを、ご紹介したいと思います!
これを知って頂くだけで!!着物ってそんなに『手間』がかかって作られているんだ!と、
【着物、本来の価値を再認識】して頂け、
【知らずに着て頂く時よりも、リッチな気持ち】で振袖を着て頂けると思います!
では、このように並んでいる振袖の中から、お気に入りの振袖を選び、
どのようにして、皆さまのところに届いているのか、順を追ってご紹介致します。
今回は、わかりやすく、振袖を「購入した場合」でご説明致します。
レンタルや、オーダーレンタルした場合の事も、のちほどご説明させて頂きます!
では、まず商品を決定したところからスタート!
①店頭に並んでいる、商品の中から、
こちらのお振袖に、決めたとします。
多くの方は、こちらの選んだお振袖が、そのまま後日、ご自身の手元にやってきて、
それを着て、成人式に出られると思われる方も、いらっしゃると思いますが、
実は、陳列されている、お振袖は、こちらのように、裏を見ると、
【裏地が付いていないのです!!!】
こちらは、裏地の付いた、別のお振袖(お客様の元に届く状態のもの)ですが、
白と、赤の物が裏地です!!
白・・・胴裏(どううら)
赤・・・八掛(はっかけ)
先ほどの、店頭で選んでいる、振袖には裏地がまだついていないのです!!
では、さっきの振袖に、裏地を付けて完成でしょ?と思われている方、
それだけではないのです!!
そこにいたるまでに『何人もの職人さんを経て、様々な加工を行うのです!!!』
それでは、具体的にお振袖を、選んだ後に、どのような「加工」や「作業」を行うかというと、
②まずは、解き湯のし作業です!
【解き湯のし】とは、先ほどの振袖の形の状態から、
このような反物の状態に、戻す作業のことです!!!
(こちらは、見本ですので、同じお振袖では、ございません)
では、なぜ!!
このような反物の状態に、わざわざするのかというと、
それは、、、
『生地を、まっすぐな、綺麗な状態に戻すため』です!!
まっすぐな綺麗な状態というのは、
店頭で、振袖を陳列、ディスプレイしていると、
多少ですが「生地に凹凸が、できてしまいます」
その凹凸を、生産時と同じような、まっすぐな状態にするために、職人さんに仕上げて頂きます。
その仕上げというのが、こちらの解き湯のし作業です。
上の写真のように、蒸気を当てて、生地をまっすぐに伸ばします!
普通に、見るだけではわからないような、本当に小さな生地の凹凸も、
綺麗に伸ばしておくことにより
その後の仕立て上がりに、差が生まれます。
こういった、細やかなところまで、
昔から気を回し、作業をしていたことを聞くと、
日本人の細やかで、繊細な美意識の高さを感じさせられます。
そして、生地が、作り立ての時のような、
凹凸のない、綺麗な状態に戻したら、次の作業に、移ります。
③撥水(はっすい)加工
撥水加工とは、振袖などの『絹の商品』に、
汚れを付きにくく、水をはじきやすくする、パールトーン加工を施します。
上の写真は、パールトーン加工をした商品ですが、
お水が、生地の上を、コロコロと転がって、付きにくくしてくれます!
(水滴の、温度などによっては、完全にはじく事はできません)
お振袖のような、絹商品は、非常にデリケートなため、
汚れが付きにくくなる加工を施すと、安心です!!
このような、撥水加工を施したら、いよいよ、
お嬢様のサイズに、ピッタリ合うお振袖を、仕立てていきます。
④手縫いのオーダー仕立て
ここまで、生地をまっすぐに綺麗に伸ばし、撥水加工を施しましたが、
いよいよ最後は、職人さんによる、
『仕立て』の作業で、
ここが、振袖ができあがる過程の中で、もっとも
職人さんの【手間】と【技術】のいる工程です!!
山喜では、お振袖をご購入または、オーダーレンタルして頂いた、お客様には、
「ものさし」を使い、センチではなく、
昔ながらの「寸」(すん)の単位で、採寸させて頂き、
それを『仕立ての職人さん』に、お伝えします。
洋服と違い、着物は、ミシンを使わず、
1枚1枚、丁寧に【手縫い】で作って頂きます!!
この手縫いの作業こそが、海外の人からも称賛を贈られる、
日本の「伝統」と「技術」が詰まった【職人技】なのです!!
では、実際にその職人技というのが、どのような物か、少しだけご紹介させて頂くと、
着物の仕立て方には、大きな特徴があります!!
それが・・・【きせ】をかける作業です!
きせをかける作業というのは実際、どういうものかというと、
着物とは、こちらの仕立てあがった振袖を、見て頂くと、わかるのですが、
赤○で囲ってある部分を、拡大して見てみると、
縫ってある、つぎめの部分に、
縫い目(縫い糸)が『一切、表に出ておりません』!!
普段着ている、洋服などを、注意して見て頂くと、
生地と生地のつなぎ目には「ミシンの縫い目」が、表側に、出ているものが多いと思います、
しかし、着物は昔から『見た目の美しさ』を重視して、
上の写真のように、縫い糸が表にでないように【すべてのパーツ】を
縫い目が表に、見えないように、縫っていく『きせをかける』作業がしてあります。
では、きせとは、どのような作業の事か、
先ほどの、【赤○の裏側】を見てもらうとわかるのですが、
このように、つなぎ合わせる、左右の生地を内側に、折り込み、
その「折り込んだ部分の生地同士」を、内側で縫い合わせているから、
表側から縫い目が見えないのです!!
反対方向から、見ても、左右の生地を上に、折り込み、
その折り込み部分を縫っているのが、わかりますね!!
上の画像は、わかりやすく、内側に折り込む、生地の長さも、長く、
縫い目も、大きくしてあるのですが、
実際は、内側に、折り込む生地の長さは、【1ミリ、2ミリ】程度で、
縫い目も、すべてミリ単位で縫っています。
職人さんの右側に、赤○で囲っている物が、
内側に折り込む生地に、折り目を付けていく【コテ】(昔のアイロン)で、
1ミリ、2ミリの長さをキープしながら、コテで折り目を付け、縫っていく作業は、
職人だから、なせる技です。
このように、着物を、手縫いで仕立てて頂いている、職人さんたちの事を、
『和裁士』さんといい、皆さん、和裁の学校を出られ、免許をお持ちの方や、
和裁士さんの元で、修行された、熟練の方がほとんどです。
そんな手に技を駆使した、和裁士さんが、何日もかけて、お嬢様のために、
振袖を作り上げていってくれるのです!!
そしてできあがったお振袖は、見た目の美しさだけでなく、
ミシンなどの機械で作られたものとは違い、柔らかく、大変
『着心地もしなやか』になります。
まだまだ、和裁士の方の技術力や、日本人の美意識が反映された縫い方など、たくさんございますが、
今回は、割愛させて頂きます。
ざっとでは、ございますが、以上のように、店頭にある、お振袖は、
このような、「解き湯のし」「撥水加工」「手縫い仕立て」の工程を経て、山喜で、検品後、
お客様のところに届くのです!!
「シルク」の生地を使用して作られ、いくつもの職人さんの手を通り、
オーダーサイズで作られるお振袖は、二十歳のお祝いにふさわしい、大変、優雅なものです!!
今回こちらの記事を読んで頂き、お振袖とは、成人式の時に着る「ただの着物」ではなく、
日本人の『美意識の高さ』や『技術力』『手間』など、
日本の文化が詰まった伝統品なのだと、歴史を感じて着てもらえたら、嬉しく思います!
そして最後になってしまいましたが、
レンタルの方、新品のオーダーレンタルの振袖は、何が違うのか?といいますと、
今ご紹介したのと、同じ工程が【いつ行われた】かが、違うだけです!!
新品のオーダーレンタルですと、自分のサイズで今の工程を行い、
一番最初に着て頂くため、購入の方とまったく同じで、
レンタルの方は「過去」に作った物を、着用するだけで、
しっかりと、職人さん達の工程を通っております!!
店頭でも、同じようなお話をさせて頂くと、着物や、和の文化に興味を持てた!と言って頂けることが、多いため、
また定期的に発信していけたらと思います。